人生は後期に全て表れる

訪問介護の仕事をしていた知人の話です。
彼女はご自分のお母様を早くに亡くされ、そのためにお母様と同じ年頃のおばあさんには
特に気持ちが入ってしまう、と言い、本当に献身的にお世話をされていました。

そのおばあさんは、８５歳。早くにご主人を亡くし、さらには子供達からも一切連絡はなく、いつも孤独でした。
毎日淋しそうにされているのをみて、元気になってほしいと一生懸命お世話をするのですが、おばあさんは、いつも「早く死にたい」「早くお迎えが来てほしい」が口癖でした。

ところが、ある日。
彼女は、おばあさんに昼食後のお薬を飲んで頂くことをを忘れました。
すぐに気がついて、お薬を飲んで頂くようにしたそうなのですが、
その時、おばあさんは、今まで見たことのないような鬼のような怖い形相で「薬を飲まなかったら死んでしまうではないか！！！」
烈火の如く、怒鳴り散らしたそうです。
ここでは書けないような酷い言葉も浴びせられました。

勿論、お薬はきちんと服用していくことが大事なのですが、このお薬に関しては、昼食後、ただちに服用しないと体をこわすようなものではなかったそうで、そのこともおばあさんはご存知なはずなのに、と彼女は本当にショックを受けたそうです。
結局、彼女は介護の仕事を辞めてしまいました。

ご高齢なのに、誰も気にかけて家にきてくれない、電話もかかってこない、子供も知らんぷり・・・孤独な毎日で、きっと人には分からないストレスがおばあさんにもあったのでしょう。だから、今回のこともしかたがなかったのかもしれません。

おばあさんの「早く死にたい」の口癖は、本当に早く死にたかったのではなく、
「誰かに心配してほしい」「気にかけてほしい」気持ちの裏返しだったのかもしれないですね。

一方で、いつまでも周囲の人に愛される、そんなおばあさんやおじいさんが沢山いらっしゃいます。これはたまたまでしょうか？
いいえ、そうではありません。

人を大事にし、大事にされるような、そんな人生にしたいな、と思います。

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